顧客の何を知っているのか?

| トラックバック(0)

若手エンジニアと、
仕事のポイントについて話す機会がよくあるのですが、
「顧客が言ったものを、そのまま作ってはいけない」
とアドバイスすることが何度もあります。

若手エンジニアの特徴として、
何でも顧客に聞いてしまうということが挙げられるでしょう。
一つ一つ聞いて、一つ一つの答えを貰ったら、
その通りに作ればよい、と考えてしまう人が多いのです。

設計をチェックしていて、まずい部分をみつけ、
「どうしてこう作ったの?」
と質問すると、
「お客様がそう言われました」
と頑として退かない技術者もいます。

つまり、
自分の頭で考えた結果ではない、
プロとしてそれが良い設計なのか悪い設計なのか、
必要なのか不必要なのか、
といったことを考えないで、
顧客が言った通りに設計した、というわけなのです。

ここには非常に大きな問題が潜んでいます。

それは、
「顧客がどんなシステムが欲しいのかを、本当に分かっているか?」
ということです。

技術者の質問に対して、顧客が答えるといったやり方では、
本来の顧客の日常の全貌を、
技術者が理解しないで作ることもあるのです。

また、一つ一つの答えを結びつけてつくったシステムでは、
組み合わせに問題があることに気づかずに、
運用がうまくいかないこともあるのです。

顧客が考えているのは、
「相手は、なんといってもプロだ。
分かってくれて、うまく作ってくれるだろう」
ということなのです。

ここを開発側がどれだけ分かっているかが、ポイントとなるのです。

顧客にOKを貰っていようとも、
ドキュメントを確認して印を貰っていようとも、
実は、本当のところ、
どんなシステムが出来上がるのかは、
顧客が分かっていないことが多いというのも、事実なのです。

顧客が望むシステムをイメージできていないとしたら、
プロである貴方はどうでしょうか?

実は、貴方は顧客よりも、もっと、
実現したシステムのイメージが無いのではないでしょうか?

だから、
一つ一つ細かなことを全部顧客から聞かなければ、
設計できなかったのではないでしょうか。

では、プロとして、SEとして、
何を聞き出したらシステムをイメージできるのでしょうか?

何だと思いますか?

それは、
顧客の業務内容、
日常の顧客の行動パターンや思考パターン、
課題・問題を含めた、日常の些細なこと全てです。

それらについて知っていなければ、
システムをイメージできないでしょう。

システムを作るということだけを目的に、
一つ一つを顧客に質問し、
顧客に選択してもらって設計するという作業が、
どんなに怖い作業かおわかりでしょうか?

貴方は、顧客の何を知っているのか?

システム設計者に求められる最終的な責任は、そこだと思うのです。

トラックバック(0)

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.softhouse-senmon.com/mt/mt-tb.cgi/43

広告掲載について

制作・運営会社:
株式会社アイロベックス

〒160-0022
東京都新宿区新宿5-17-5
ラウンドクロス新宿5丁目3F
TEL : 03-3232-2525
FAX : 03-3232-2520
お問い合わせ
個人情報保護方針について